2023年7月31日

本お知らせは当社の取り組みを報道関係者等をはじめとするステークホルダーの皆様に公平かつ適切なタイミングでお知らせすることを
目的としたものであり、一般の方への製品情報の提供や顧客誘引を目的としたものではありません。

透析用水作製装置 新製品の販売開始について


透析用水作製装置 TW-EX

 東レ・メディカル株式会社(本社:東京都中央区、社長:田邉充)は、このたび、静岡事業場(静岡県沼津市)にて新たに開発した「透析用水作製装置TW-EX(以下、TW-EX)」を、2023年7月より販売開始しました。

 TW-EXは、現在国内医療機関にて使用されている「逆浸透法精製水製造装置TW-R」の後継機種で、逆浸透(RO)法、イオン交換法、吸着法などを用いて、水道水などに含まれるさまざまな不純物を除去することにより、純度・清浄度※1の高い水(透析用水※2)を作製するために使用します。透析※3医療では、本装置にて作製した透析用水を用いて透析液原液を希釈し、透析液を調製します。

 TW-EXに標準搭載する逆浸透膜(ROエレメント)は、東レ株式会社が開発した高機能性逆浸透膜を採用しています。本膜は、東レのコア技術である高分子化学とナノテクノロジーを駆使し、逆浸透膜の透水性能(省エネルギー性)と除去性能(水質)および、耐汚れ性(運転安定性)を著しく向上した逆浸透膜です。

 当社は、この高性能逆浸透膜に透析用水の清浄化対策を施し、透析専用のROエレメント(TMG-MS)として、透析医療に求められる透析用水作製の基本性能向上と清浄性の両立を目指し、新製品の開発を行いました。
 透析用水の作製においては、原水※4水質や透析装置の設置台数などに応じて必要な能力が異なりますが、TW-EXでは機器構成をユニット化することで、医療機関に適したカスタマイズを可能とし、装置サイズの業界最小化を実現しました。
 また、薬液・熱による洗浄システムを搭載しており、今回、洗浄範囲の拡大と透析用水の清浄化に対する日常管理をさらに容易にしたことで、高性能逆浸透膜の性能に加えて、透析用水の品質維持に貢献します。
 さらに、当社の透析システムで他の透析関連製品と連携し統合運用することで、スケジュール連動や、夜間の警報発生時のメール通知などを活用することが可能となり、医療機関におけるタスク・シフト/シェア※5およびワークライフバランスに貢献します。

東レ・メディカルは、安全・安心で効果的な透析医療の実現に向けて高品質な透析関連製品の提供を継続し、透析治療の発展に貢献してまいります。

製品の詳細については、下記の通りです。

1.製品基本情報

販売名:透析用水作製装置TW-EX

2.製品特徴

(1) 原水水質などに応じた構成機器のカスタマイズ
機器構成をユニット化することで、各医療機関の要求仕様に応じてカスタマイズすることが可能であり、60床用の標準構成で業界最小サイズ(W×D×H(mm)970×900×1800)を実現(従来当社サイズ:1300×900×1800)。
また、当社で実施する原水の水質調査結果に基づき、これまでの装置で透析用水作製時に排水しなければならない原水の回収率※6を67%から最大85%まで向上させることができ、50床規模の施設では年間で1,600 tの節水が可能
(2) 基本性能(透析用水作製能力)
透析用水作製に特化した専用ROエレメントの搭載により、従来に比べ基本性能(透過水量、除去性能)が向上。使用するROエレメント本数を1本削減し、イニシャルコストおよびランニングコストが低減できる。
(3) 洗浄方法の合理化
薬液と熱水(65℃、85℃)を用いた洗浄・消毒システムを搭載し、組み合わせて使用することで、細菌の発生を抑制し透析用水の清浄度の維持管理がより合理的かつ効率的に行える。
(4) 透析システム統合運用
TW-EXは当社の装置統合管理支援システム(Miracle DMACS EX)と連携することによって、システム全体のスケジュール連動や夜間の警報発生時のメール通知など透析システム全体を統合運用する機能を備える。組み合わせて使用することで運用/保守性がさらに向上する。

以 上

<東レ・メディカル株式会社 概要>

1.設立 東レ(株)が製造する人工腎臓(透析器)「フィルトライザー®」などの医療機器製品の販売会社として1980年に設立
2.売上高 434億円(2022年度)
3.事業内容 血液透析を中心とした透析器や透析機器、救急・集中治療の血液浄化システム、カテーテルなどの医療用具の製造および販売

<用語説明>

※1 純度、清浄度
純度は、化学的汚染物質を含まない度数。
清浄度は、生物学的汚染を含まない度数。
※2 透析用水
透析用水作製装置の出口水(RO水)であり、多人数用透析液供給装置,個人用透析装置などに供給される純度・清浄度の高い水
※3 透析(血液透析、人工透析)
透析とは、慢性腎不全に陥った患者の生命維持に必要な治療方法のひとつで、 通常1週間に2~3回(1回あたり:約4時間)維持透析として施行される。血液と透析液を、半透膜を介して接触させることにより、尿毒素および余分な水分の除去、電解質バランスの調節等を行う。
※4 原水
透析用水作製装置の原水供給ユニットに流入する水(通常は水道水)。
※5 タスク・シフト/シェア
タスク・シフトとは、看護師や薬剤師などの他職種に医師の業務の一部を任せる業務移管のこと。 タスクシェアとは、医師の業務を複数の職種で分け合う「業務の共同化」を指す。 タスク・シフト/タスクシェアは医師の働き方改革を推進する中で、医師の労働時間を短縮させる施策のひとつとして導入。
※6 回収率
原水のうち、透析用水として利用された比率を示す。透析用水量と排水量(あるいはRO原水量)から求められる。

以 上

<本件に関するお問い合わせ先>
東レ・メディカル株式会社
透析事業本部 技術サービス部門 技術営業部
(担当:立花、今井) TEL 055-925-5325